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この街・あの人・どんな顔       2005/01/05掲載

相模原市書道連盟会長
  若林 花泉

わかばやし かせん
1936年生 相模原市横山在住
本名:若林富美子。毎日書道展会員(漢字部)。あじさい大学講師。相模原市書道連盟会長二期目を務める。自宅に書道教室を持ち、近所の主婦や子どもたちに書道を教える。現在夫、娘と3人暮らし。

書道をみんなと共にやっていく、それがとても楽しい。私にとって書道は心の拠り所なんです。

 

 日本の文化・伝統の代表格でもある書道を小さい頃から学び、今では相模原市書道連盟の会長も務める書道家、若林花泉さん。その素顔は、長年近所の子どもたちに書道を教えてきた先生であり、主婦でもある。


 一昔前、習い事といえば、そろばんや書道だった。若林さんの書道教室も、全盛期は大人も含め百人を超える児童たちで賑わっていた。今は、スポーツ系の習い事が主流で、学校でも多くの時間を書道教育に当てないのが現状だ。硯を使って墨をすることすら知らない子どもたちも多いという。
  「ある時、墨をすらせているとなんかカチャカチャと聞き慣れない音がするんですね。よく見たら硯がプラスチック製で…。ビックリしました」 このような理由からか、書道界では高齢化が進む一方で、若い年齢層が減少している。
 「書道というのは日本の伝統文化、芸術なので、これからはもっと若い人たちにも頑張って欲しいんです」

疎開先で
 子どもの頃、祖母に連れられて近所の書道教室に通った。最初は無理矢理だったが、次第に喜んで行くようになっていた。戦争で疎開したときにも、昭和44年のヒット曲『黒ネコのタンゴ』を歌った皆川おさむの叔母で、後に『ひばり児童合唱団』を指揮していた皆川かずこ先生が偶然にも疎開先で近所だった。書道の先生でもある皆川先生には、同じ疎開仲間ということで書道を教えてもらった。戦後、東京の国立博物館で書道展が開かれることになり、皆川先生のところにも声が掛かった。
 「先生に勧められて出展したところ、優秀賞を頂いてしまったんです。初めての賞ですからとても嬉しかった」
 疎開先から帰ると、通っていた書道教室がなくなっていた。しかし、中学校に入ると、国語の先生から書道をあらためて勉強するように勧められ、中学・高校時代を通して、賞を受けるなど高い評価を得た。
 「小さい頃からそうでしたが、書道が自分に合っていたんでしょうね」
 その後、普通に就職し結婚をして子どもが産まれた。子育てをしながらも、何か自分にできることを模索しはじめた。長年続けていた書道ならと思い、通信教育で習うことに。主婦業の傍ら、夜になって子どもを寝かしつけてから、書の練習をした。子どもに手が掛からなくなり、名のある先生の元に師事したのが昭和40年頃。黙々と腕を磨き、昭和48年頃には自宅で教室を開業。近所の子どもたちにも教えるようになった。
 5年ほど前、初めての個展を相模原市民ギャラリーで開いた。そこで一般の観覧者から、兎年にちなんで書いた兎の墨絵を譲ってほしいと声をかけられた。一般の人には、文字よりも墨絵の方がわかりやすい。書となると、どうしても難しいイメージがついて回わることも実感した。
 「私自身は書道を難しく考えたこともないし、ごく自然に楽しくやってきました。大事なのは毎日の積み重ねなんです。よく大先生たちがおっしゃるのは、書道は1%の才能と99%の努力だと。教える側とて学ぶ側と同じ、私なんて子どもたちから見たらただのオバチャンですから(笑)」

あじさい大学で
 現在、相模原市のあじさい大学で講師もしている。同大学は相模原市が主催する、60歳以上の人を対象とした学習の場。最初は、小筆を使用する書を学ぶために参加する人が多い。芳名帳への記帳やのし袋の記名、年賀状など、日常で使う字を上手に書きたいからだ。だが、徐々に書道本来の魅力に気付いていく。
 「今、一番良かったと思うことは、書道をみんなと共にやっていけること。それがとても楽しい。人生の先輩方のためになるなお話を聞いたり、同年代同士で、孫の話で盛り上がったり…。そんな世間話をしながら、『でも書くことが一番楽しい』と言って下さる方がいると本当に嬉しい。私にとって書道は心の拠り所なんです」
 本格的に書道を始めて早40年。続けてきて良かったと素直に思える瞬間だ。

 

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