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この街・あの人・どんな顔       2005/04/05掲載

BC工房・きらきら工房代表
家具プロデューサー
  鈴木 恵三

すずき けいぞう  1947生   
●プロフィール
愛知県岡崎市生まれ。
関西大学社会学部卒。
西武百貨店本部宣伝課、コピーライター、クリエイティヴディレクターを経て、78年BC工房を設立。日本の数多くの家具デザイナーと商品開発を手がけている。94年日本インテリアデザイナー協会奨励賞受賞。
著書「日本人の椅子」 日本建築資料研究社 発行
現在、東京青山BC工房、横浜本牧BC工房、インドネシアジャワBC工房、津久井郡藤野町のきらきら工房と藤野BC工房にて無垢の木テーブルと椅子のデザイン、製作、販売を手がける。

大きなテーブルには、自然と人が集まる。食べて、しゃべる。うれしい時間を過ごす。


◆きらきら工房(火曜定休日)
津久井郡藤野町牧野字栗久保6854
朝10:30頃から夕方6:30頃までOPEN
TEL&FAX 0426−86−8247
◆藤野BC工房(火曜定休日)
津久井郡藤野町牧野字小舟13885-1
朝10:30頃から夕方6:30頃までOPEN TEL&FAX 0426−89−3558
E-mail fujino-kirakira@bc-kobo.co.jp
http://www.bc-kobo.co.jp/


▲「えんがわ座ぶとん椅子」 座と背の座ぶとんクッションに木綿わたを贅沢に使用。

 

 

 無垢の木のテーブルやくつろぐための椅子のデザイン、制作、販売を手がけるBC工房代表の鈴木恵三さん。大手百貨店の広告マンから家具プロデューサーへ転身しそして自称『家具屋のあるじ』へ。その軌跡を追った。


 鈴木さんは、年間約120日を津久井郡藤野町にある、無垢の木テーブルの加工、展示を行う『きらきら工房』と椅子の張り、展示を行う『藤野BC工房』で過ごす。
 藤野町に工房を建てたのは2002年9月。東京青山のBC工房から丁度80キロ、時間にして1時間程という地のりの良さと広い敷地を求めてのことだった。以後、自然豊かな環境の中で、月に100脚の椅子と25枚のテーブルを日本各地へ送り出している。

広告業界から家具プロデューサーへ
 愛知県で4人兄姉の末っ子として育った鈴木さん。読書好きで、好奇心旺盛な子どもだった。地元の高校を卒業し、関西大学社会学部へ進学。大学の先輩たちの「コピーライター」としての活躍を知り、その仕事に興味を持った鈴木さんは、夜間、コピーライターの専門学校へ通った。
 「専門学校では、ノウハウとか技法はそんなに教えてもらえなかった。元来感性の部分だからね。教えられたことは、コピーライターというのは、うまく広告文を書くことが職業ではなく、新しい考え方を発見することが一番大事ということを教わった」
 発見、人の気づかない何かを見つけること。それは、子ども時代から鈴木さんが得意としていることだった。色々なことに対して好奇心を持って見ていくという姿勢にさらに拍車がかかった。
 卒業後は大手百貨店の宣伝課に就職しファッション部門の広告担当として活躍。ある時、輸入家具のカタログ制作に関わった。「家具はおもしろいなと思いましたね。スパンが長くて、ゆったりと仕事ができるじゃないですか。ファッション業界の目まぐるしさに、戸惑っていた時期だったんですよ」。その後、フリーのライターとなった鈴木さんは、インテリア雑誌の仕事で全国の家具の産地、工房を見て回った。おかげで、家具作り全般の知識を得ることができた。
 1978年にグラフィックデザイン『BC工房』を設立。家具プロデューサーの仕事もはじめた。家具プロデューサーとは、使い手、作り手、デザイナー、販売者の循環をスムーズに運ぶ潤滑油の役割をする仕事。
 「意外なことですが、家具デザイナーは作り手の現場をあまり知らないし、作り手はデザインのことを知らない。そして、使い手は自分の意志をなかなか作り手に伝えられないんです。だから、デザイナーを現場へ連れ出したり、作り手には、従来のやり方に固執せず、お客様のために新しい技法を考えてもらうように説得してきました。皆さんその道のプロですから、随分嫌な顔もされましたよ。でも、いいものを作るのに絶対、妥協はできませんから…」

家具屋のあるじへ
 家具の産地は地方が多い。だから、都会の狭い立地の中での暮らしがあまり理解されていないし、世の中の価値観の変化に現場が追い付かない場合もある。
 「もっと違うものを作るように提案しても、『そんなの売れないよ』の一言で終わってしまう。じゃあ、自分でやるしかないかと思い家具屋をはじめた」
 鈴木さんは、まず、サイズの見直しからはじめた。日本人の足の長さ、和洋折衷のライフスタイルを考慮して作った『安楽椅子』は、大きめの低い椅子。それから10年間、プロデューサー(鈴木さん)、デザイナー、作り手とコラボレーショしながら『今の日本人に相応しい椅子』を追求してきた。 
 また、世界でたった一枚の無垢の木テーブルもプロデュースしてきた。
 今後は、工房を陶芸や藍染め製品、日常の工芸品などの製作・販売、そして、談話ができるような「生活道具工房」へ変えてゆく。
 「1年後は、ギャラリーやカフェを作り、ここ藤野に人が集い、一緒に何かを作る参加型の工房にしたい」淡々としたその語り口に、自分を信じて生き抜いてきた、男としての自信と余裕が溢れていた。

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